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小説置き場  通常は3の倍数日に更新します   取り扱い:リリカルなのは二次SS
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さあ 最後の仕事に かかりましょうか・・・



3話 始まります。





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1月8日 早朝 桜台公園



いつもは静かなこの公園に
今朝は多くの人が集まっていた。

俺とメリー、ヴィヴィオの次元漂流組
なのは、ユーノ、フェイト、アルフなど アースラ魔道師組とハラオウン家一同
はやて、ヴィータ、ザフィーラ、リインなど 八神家一同 そのほか数名
今日はシグナムとシャマルも居る クロノが監視役として同行することが条件だ。


「決心は ついたようだな」
「うん・・・」

皆に集まってもらったのは 他でもない。
ヴィヴィオを もと居た時間・もとの世界へ送還する。
そのための お別れ会なのだ。







<ヴィヴィオside 1週間前>



「あけまして おめでとう」
「おめでとーございます」

八神家のみなさんが新年の挨拶に来たのは お昼頃。
ミッドチルダにはこういう行事は無い。 すごく斬新。
【お年玉】といわれて硬貨を落とされたときは 本気で信じちゃった。

「高町家のみんなは 明後日から新年旅行だって?」
「うん フェイトちゃん すずかちゃん アリサちゃんの家と4家族合同なの」
「はやてちゃんたちも行ければよかったのにね」
「うーん お誘いはありがたいんやけど 今回は自粛いうことで・・・」

そう 八神家のみなさんは今回の旅行には参加しない。
闇の書事件のこともあって しばらくおとなしくするんだって。




『なあ ヴィヴィオ 旅行中、考えておいてほしいことがあるんだが・・・』
ケイスケさんが こっそり念話で話してきた。
その内容を聞いて 一瞬わたしは頭の中が真っ白になっちゃった。


『おまえさん 元の世界に戻りたくはないか?』


正直言うと 戻りたかった。
ケイスケさん、メリッサさんと初めて出会ったあの日
【元の世界に帰りたい】と はっきり伝えた。
その気持ちに変化はないけれど
時空を越える魔法は実用にはいたってない。 アースラでそう聞いてる。
どういうことなんだろう?


結局 帰りたいという気持ちは旅行後に伝えた。
それに旅行中に 皆にわたしの正体もカミングアウトした。
いろいろ考えて 自分でそう決めた。 後悔はしてない。
なのはママ・フェイトママはすごくびっくりしてたなぁ。
(あ、ママっていうのも久しぶりだなぁ)







<ケイside 1月7日 昼頃 喫茶翠屋>



「・・・というわけだ。 ヴィヴィオ本人の意見を尊重し
彼女を 元の世界へと帰してあげたいと思う。
皆にはちと悲しい 一時の別れになるんだが 了承していただきたい」

俺は翠屋に主要陣を集め 事前説明会を開いた。
ありがたいことに貸切にしてくれたので 結界の類は張っていない。
よって 高町家の人たちやアリサ・すずかにも説明できる。

『君がやりたいことは分かった。 だが、どうやってするつもりだ?』
本局から次元通信で参加するクロノが異議を出してきた。
当然だろう。 時空超越技術は確立していない。
それはPT事件の後 アースラでも聞いた。
2つの大きな問題があって 実行は困難ということも。

「2つの問題 俺はその問題の解決法を思いついた。
PT事件のあと 時空超越魔法の話を聞いたあとだ」
「そうなんですか!? どうやって・・・」
「まぁまぁ その話を聞いてなかった人もいるから まずはおさらいな」


アースラで聞いていた話は 大まかに言うと次の通りだ。
まず 時空超越魔法は昔から何名もの研究者によって研究されている。
しかし2つの大問題がその研究を拒み 実用にはいたってない。
1つ、【魔法を使う者の技術】
ひとりで運用しようとするとSSSランク魔道師でも困難なほどの高度な魔法であること
2つ、【桁違いに膨大な必要魔力】
人間を送り出すには大戦艦動力炉クラスの魔力が必要になること




「それじゃ タネ明かしだ。
まず【技術】だが ひとりで運用できる技術を持った人が この中にいる」
「この中に?」 「わたしでも多分無理だよ」 『誰だっていうんだ』
「リイン、お前だ」
「私!?」
いきなり名指しされたリインが驚く びくりしただろ。

「皆、忘れてないか?
夜天の書は転生と再生を繰り返し 数百年という長きに渡っていくつもの次元で確認されたんだ。
その魔導書の管制人格だったリインなら 高度な魔法でも操作できると俺は踏んだ」
「言われてみれば リイン本人が時空を越えてきた経験者なんや」
「た、確かに ですが魔力は?
ページが埋まった夜天の書があるならともかく 私にはもうそんな膨大な魔力は・・・」



「そこで第2のタネ明かし。 その【魔力】には・・・  コレだ」
ポケットから取り出したのは 八神家で保管していたジュエルシード。
「こいつは高濃度の魔力結晶でもある。
ちょっとの外部圧力でも次元震を引き起こせるほどの圧縮率だ。
2個あるから 外部圧力次第でこいつだけでも大規模次元震が起こせる。
こいつをブースターとして使えば どうだ?」
「・・・足りる 足りるよ!! 魔法発動に必要な魔力は確保できる!!」


リインの生存とジュエルシードの確保 この計画に必要なのは この2つだった。
アースラで最初に話を聞いたとき ジュエルシードははやての手元にあったし
リイン生存については年末のとおり 計画成功している。
そして本人の意思確認も済んでいた。




だが、後引きが全く無かったわけではない。
「・・・すまんな 皆にはちと悲しい別れになりそうだな」
そう ヴィヴィオが元の世界に戻る すなわりこの世界から消えることになる。
なのはたちは10年後 しっかりした形でまた出会えるだろうが・・・

「いいよ また、会えるんだよね」
「うん 10年後、ミッドで それまでわたしは 絶対忘れない」
「そのときはわたし、立派なお母さんになるよ。
今までずっと魔法の練習につきあってくれて 新しい魔法も一緒に考えてくれて・・・
わたし そのお返しというわけじゃないけど がんばるから」
未来のママさんもやる気まんまんだな。




ここでたぶん多くの人が思ってるだろうから 先に言おうと思う。
こんだけ過去をメチャクチャにして ヴィヴィオが戻っても
果たして「元の世界」なのだろうか?
タイムパラドクスどころの話じゃないからね。

これは俺の考えだが たぶん大丈夫だと思う。
【時間】という概念は図に表すと 1本の大樹で表すことができ
歴史になんらかの改変があると【幹】から【枝】が伸び
【正史】とは違う歴史を進む枝が先に伸びてゆく。
ゆえに【正史】は何人にも決して変える事が出来ない。
前の世界にいたとき特別授業だかで聞いた理論だ。
過去に戻り 自分の親を殺すとどうなるか という有名なパラドクスの答えも
歴史が枝分かれするだけ という結論で出すことが出来る。

つまり 俺らがこの世界に出現した時点で
【正史】から枝が出たと考えればいい。
元の歴史は変わらないから ヴィヴィオがそのまま戻っても
おそらくは社会見学の最中からになるんじゃないかと思う。
これだけ歴史を変えてもヴィヴィオは消えずに存在していられたのが 証拠ともいえる。

もっとも このままなのはたちは10年後
正式な形でヴィヴィオに出会ったらどうなるんだろう?
それは俺も判らない。






<1月8日 桜台へ戻る>




「それじゃ そろそろ。
あまり長引いても 悲しくなるだけだから・・・」
「・・・ああ」

リインが術式を展開する。 術式は無限書庫で探し出してきてもらった。
ヴィヴィオの足元に 濃紺の魔法陣が浮かび上がる。

「8ヶ月 短い間だったけど ありがとう。
わたし、忘れないから 昔のみんなに出会えたこと」
「それは わたしたちもだよ」
「強き想いも時空を越えるもんだ この先もお互い繋がってるさ。
念話も次元通信も届かないけどな」
「そう だね。 わたしもそう信じてる」

『 お世話になりました 』
「シャイニングハートも ありがとうな。 いろいろと教えてもらって」
『 ごく基本的なことだけです お気になさらず 』



「では 発動させるぞ。 達者で・・・」
魔法陣が強く光り ヴィヴィオの姿が薄くなってゆく。
夜天の書を送ったときと同様 みんな笑顔で手を振った。
その姿が完全に消えても しばらくはそのまま手を振り続けた。





「君たちは いいのか?」
「ん?」
ヴィヴィオを送り出したあと クロノがそう切り出してきた。
「君たちも 次元漂流者だろ 同じ方法で元の世界に返れるんじゃないのか?
その気があるなら局で保管しているジュエルシードを持ってきてもいいんだぞ」
「ああ、そうか そのへんはまだ話してなかったんだよな・・・」

俺とメリーは 元の世界に帰る気は無い。
メリーにいたっては元の世界に返っても もう身体が無いだろうし。
「ま、落ち着いたら話すさ。 時間はいくらでもあるからな」
闇の書事件も終わった。 しばらくはゆっくりできるだろうからな・・・










<ヴィヴィオside 13年後 デバイス研究所>




「・・・う、うーん」

わたしが目を開けると そこはどこかの部屋だった。
ベッドに寝かされている。 公園にいたはずなのに?


「あっ!? 気づいた シスター、あの子が気づきましたよ」
作業服を着たお兄さんがわたしに気づき 誰かを呼びに行った。
すぐ 呼ばれた人が部屋に入ってくる。

「シスター シャッハ・・・」
「ヴィヴィオさん よかった 大丈夫ですか? どこか痛かったりとかしませんか?」


ここは 社会見学で来ていた施設の休憩所で
夜勤のひとが使うベッドに寝かされていたみたい。

夢、だったのかな・・・
ちいさいなのはママや ユーノ君 みんなと暮らした8ヶ月は・・・



『 違います 』
否定したのは わたしのポケットに入ってたシャイニングハート。
『 夢ではありません 私にも記録が残っています 』
そう言って記録映像をいくつか出す。
ちいさいなのはママ、ユーノ君と一緒にわたしが映ったもの
フェイトママとアリシアさんがピースサインしたもの
ケイスケさん、メリッサさん、はやてさんと一緒に食事したときの写真など

夢じゃ なかった。
夢だったら この写真は説明できないものね。




「ヴィヴィオっ!!」
「なのは ママ・・・」
大声出して入ってきたのは わたしもよく知る大きいなのはママ。
シャイニングハートはすぐに写真を仕舞いこむ。

「ヴィヴィオが倒れたって聞いて 仕事代わって貰って飛んできちゃった。
身体、なんともない? どこか痛いところとか無い?」
「う、うん 平気」
「よかったぁぁ」

ぎゅっと抱きしめられる。 そうか 想いはつながってるんだったよね。


「心配かけて ごめんなさい。 そして ただいま」
「えっ? う、うん おかえり で合ってるのかな?」

ママに今までのこと話しても 大丈夫だよね。
でも今は 帰ってこれたことを喜ぼう。
ありがとう 皆
ありがとう ケイスケさん、メリッサさん
そしてさよなら 楽しかった8ヶ月






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あとがき


啓祐のハッピーエンド計画 最後の仕事は
ヴィヴィオの送還でした。
しんみりシーンが2回並んじゃいましたけど 仕方ありません。


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